
COP26(グラスゴー会合)とは
COP26は 2021年10 月31日〜11 月13日に英国スコットランド・グラスゴーで開催された気候変動枠組条約第26回締約国会議です。197 か国が参加し、パリ協定1.5 ℃努力目標に沿った加速策をまとめた「グラスゴー気候合意(Glasgow Climate Pact)」を採択しました。
主な目標と背景
合意は今世紀半ばのネットゼロを呼びかけ、2030年までに排出を急減させる“緊急の10年”へのロードマップを設定。各国に2022年末までのNDC再提出や2030年目標強化を要請しました。
グラスゴー気候合意のハイライト
化石燃料への初言及
合意文書にはCOP史上初めて「石炭火力の段階的削減(phase-down)」と「非効率な化石燃料補助金の段階的廃止」が明記されました。ただし「phase-out(全廃)」案はインドなどの強い要請で“down”に弱められるなど、妥協も伴いました。
気候資金と適応
先進国に対し年間1,000億ドルの気候資金目標達成を2023年までに実現するよう再確認し、2025年以降は倍増を目指す方針を打ち出しました。また、適応資金を少なくとも現状の2倍(約400億ドル)に拡大することを決定。
世界的イニシアチブの立ち上げ
・グローバル・メタン・プレッジ:100 超の国が2030年までにメタン排出を30 %削減へ合意。
・森林破壊ゼロ宣言:2030年までに森林減少を止める多国間コミットメント。
パリ協定ルールブック完成
市場メカニズム(第6条)の実施指針
COP26で第6条2項(ITMO取引)・4項(国連クレジット制度)の詳細ルールが決着。これにより、対応調整と二重計上防止の会計基準、2 %課徴金・5 %クレジット取消(6.4)など環境整合性確保措置が確定し、パリ協定下での国際炭素市場が本格始動可能となりました。
透明性枠組み(ETF)完成
共通報告指針・表形式(CRT、CTF)が合意され、2024年以降に提出される各国報告書は統一フォーマットで排出量と支援を開示することになりました。
評価と今後の課題
前進点
・1.5 ℃目標を公式に中心目標として据え、2030年までの緊急行動を強調。
・ルールブック完成でパリ協定の実施段階が整った。
残された課題
・1000億ドル資金目標は依然未達で信頼性が問われる。
・石炭「段階的削減」にとどまり、化石燃料全体のフェーズアウトには至らず。
まとめ
COP26は1.5 ℃目標実現へ向けた「次の一歩」を具体化し、炭素市場ルールを確定させた転換点となりました。各国は2025年の第2回グローバル・ストックテークまでにNDCを再強化し、資金・技術・実装面で“グラスゴー合意”を行動に移すことが求められています。

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